日本・コリア(韓国・朝鮮)音楽祭2000

高木東六・作曲 オペラ「春香」より/「水色のワルツ」

朝鮮半島の伝統的な物語「春香伝」を

題材にしたオペラ「春香」。

作曲者自身の演奏によって蘇る名曲「水色のワルツ」。

高木作品と感動的なコリア歌曲の旋律が流れる

2000年5月28日(日) 午後4時  カザルスホール(東京・お茶の水)

批評1 長木誠司(音楽評論家)

批評2 四方田犬彦(作家)

20000512朝日新聞 高木東六さんの朝鮮劇オペラ「春香」、52年ぶり復活

20000426朝鮮日報 オペラ「春香」52年ぶりに東京で再公演

20000422毎日新聞 幻のオペラ「春香」、52年ぶり復活 日韓朝友好の礎に

出演
春香(チュンヒャン)

田月仙(チョン・ウオルソン)

夢龍(モンヨン) 井ノ上了吏
史道(サト)      大久保真

演奏
演奏

高木東六、高木緑

演奏 宮林亮至、小池由紀子
舞踊 韓国倍達民族舞踊団
演出 金盾進(キム・スジン)
20000528chun.jpg (65637 バイト)

日本コリア音楽祭  高木東六 ・作曲 オペラ「春香」より/ 水色のワルツ

第一部 オペラ「春香」より 第二部「水色のワルツ」ほか
オペラ「春香」は朝鮮半島の有名な物語「春香伝」を題材に高木東六が作曲し、1948年(昭和23年)に東京有楽座で上演されたグランドオペラ。

 「春香伝」は妓生の娘・春香と高級官吏の息子・夢竜の身分を越えた恋を描く“韓国版ロミオとジュリエット”とも言われる李朝時代の恋愛劇。南北朝鮮のいずれでも人気があり、韓国ではパンソリで上演されることが多い。何度も映画化されており、最近では「風の丘を越えて~西便制~」の監督・林権澤の新作として話題も呼んでいる。

 オペラ「春香」は戦後、在日朝鮮人たちが高木東六に作曲を依頼して作られた。作曲にあたり高木氏は朝鮮半島に渡り「アリラン」「トラジ」などの民謡を収集分析。コリア独特の3/4拍子のリズムを西洋音楽技法に取り入れ、村山知義の日本語の台本に作曲した極めて独自性の高いオペラ。ストーリーも“オペラは最後は主人公が死ぬもの”と原作ではハッピーエンドだったラストは書き換えられた。

 当時の春香役はソプラノ大谷冽子、恋人役には永田絃次郎(金永吉)と日本を代表するソリストたち。なお主役の永田絃次郎は1960年日本人妻と一男三女を連れて朝鮮民主主義人民共和国・北朝鮮へ帰国した。 第一部では、当時の楽譜を元にオペラ「春香」の名場面を紹介する。

“きみに会う嬉しさの胸に深く 水色のハンカチを顰める慣わしが?”

 高木東六はクラシックからポピュラーまで約三千曲の作品を残している。中でも最も愛されている曲は「水色のワルツ」(藤浦洸作詞)であろう。

 「水色のワルツ」が歌われた1950年(昭和25年)は朝鮮戦争が勃発し、朝鮮半島は戦火にまみれた。一方、敗戦の日本は朝鮮戦争の特需景気により蘇生した。しかし企業は潤ったが労働者は貧しかった。そのような時代、哀愁を帯びた「水色のワルツ」は流行した。新天地を求めてブラジルに旅立った日系移民の間では今でも歌われているという。

 多くの人に愛され“流行歌”となった「水色のワルツ」だが、これは演歌によく見られるペンタトニック(五音階)ではない。クラッシック畑の高木は“単調で低質な演歌ばかりヒットしていることに怒りを覚え、あんな曲はいくらでもできるという思いで作った。しかしこの曲は正統な発声技術を持った人でないと歌いこなせないだろう”と言う。

  第二部で作曲者自身の演奏によるこの「水色のワルツ」のほか、シャンソン風な「ばらのエレジー」、戦時中に文部大臣賞を受賞した「朝鮮の太鼓」などの高木東六作品。そして“南であれ北であれ いずこに住もうと 同じ愛する兄弟ではないか”の歌詞の「高麗山河わが愛」などのコリア歌曲を紹介する。


Chon Wolson officilal Website www.wolson.com