日韓共同の音楽劇「あの丘を越えて」 悲劇の人間模様歌い上げる

 

 日本と韓国の歌でつづる日韓共同製作の音楽劇「あの丘を越えて」が、十九、二十日に東京・新大久保の東京グローブ座で初演される。

 時代設定は二〇〇〇年。「景福宮(キョンボックン)」という、現在ソウルで復元中の李朝の王宮をめぐる人間模様が描かれる。約六百年前に建てられたこの王宮は、豊臣秀吉の出兵と戦前の日本の植民地政策により二度失われるという悲劇を背負っており、その歴史が劇の背景となる。

 歌われるのは、「アリラン」をはじめ、植民地時代に禁止された「鳳仙花(ポンソナ)」、朝鮮半島分断の悲しみを歌った北朝鮮の「イムジン江」、統一の願いがこめられた「懐かしい金剛山」、日本の「さくら」や「荒城の月」など代表的な歌曲だ。

 歌手は、北朝鮮や韓国との文化交流に努めるソプラノの田月仙(チョンウォルソン)と、バリトンの田代和久のほかソウルの合唱団も参加。演出は金盾進(キムスジン)で、その劇団「新宿梁山泊」や、舞踊の大川妙子も出演する。(電)03・3382・3771。